昨日の深夜2時半頃、雪と忘年会シーズン到来でタクシーが全くつかまらず、
私は最近恒例となりつつある、石山通りを目指して歩くことを余儀なくされた。
お店でお客様とワインをいただいた後にも知り合いの店で少し飲んでいたこともあり、
私は少し酔っていた。
西8丁目にあるセブンイレブンに、なぜか私は入って行き、ジャガイモのコロッケを一つ購入。
それを手に持って、再び外に出た。
外は氷点下何度だったのだろう?ひどい寒さだ。
私は少し歩きかけたところですぐに手袋をしようとした。
ところが、あるはずの手袋が右手の分しかない。え、おかしい。そんなはずない。
もしかしたらセブンイレブンで落としたのかもしれない。
私はすぐに引き返した。。戻る途中で驚きの発見があった。
私のスマホがツルツルに凍ったセブンイレブンの駐車場の真ん中に、ポツンと落ちていたのだ。
私は昨夜一度滑って転んでいる。おそらく、そこで転んだのだろう。そしてその時にスマホを
落としてしまったのだ。あ~、戻って良かった!なんて幸運!戻らなければスマホを落とした事にさえ
気付かずに帰宅して、私は絶望の淵に立たされたことだろう。
話は手袋に戻って。
お店の人に聞いたところ、「ないですよ~、お店に入ってきた時はしていましたよ」と言われた。
え~、そんな、どうしよう。
実はその手袋、ごく最近三越で買ったばかりのお気に入りのカシミヤの赤い手袋だった。
私は落とし物には執着する。できる限り手を尽くして探す。ましてや、今回は私に落ち度がある。
仕事が終わって直帰しなかったこと。少し飲み過ぎてしまったこと。
私は自分を責めた。お店からまっすぐ帰宅していれば、タクシーはすぐにつかまって歩く必要もなくて
歩いていなければ手袋は落とさなかったはず。そして歩いていたとしても、酔っていなければ
おそらく転ぶこともなく、手袋が落ちていることにも気づいたはず。
仕方がない。もう帰るしかないか。一体どこで落としたのだろう?
そこからは、寒い寒い中、タクシーを何とか捕まえるまで15分くらいは歩いただろうか?
失意の中帰宅し、私はパジャマに着替えドサッとベッドに倒れ伏し、朝9時過ぎまで眠ってしまった。
喉が渇いて起きだし、リビングに行こうと寝室を出ると、廊下に右手の手袋だけが投げ置かれてあった。
相棒を失って、もう用は無いとでも言われて、すっかりしょげかえっているかように、私の目に映った。
嫌な気分のままベッドに戻って2度寝をしたら、夢でセブンイレブンと手袋が出てきた。
セブンイレブンに忘れ物の手袋がいくつもまとめてラックに置かれてあって、その中を必死に探す私。
見つけた!と手に取った瞬間違ったり、次にはとうとう自分の手袋を見つけ出して歓喜したり、その辺は夢なので妙な展開だったが。
その後、目覚めた時のなんとも言えない悲しい気分。あ~、私の赤い手袋、どこに行ったの?
かつて娘達が「ママ、~どこ行ったのかな?」と探し物の度に言うと
「物はどこにも行きません。自分でどこかへ置いたのでしょ?」と、娘達の管理能力を問うていた、当の私が何とも情けない話だ。
でも、どうしても諦めきれない。夢にまで見るということは、まだそこにあるのではないか?
私が探しに行くのを待っている、そんな気がしてならなかった。左手の手袋が私に迎えに来てほしいと、呼ばれている気がして
ならなかった。
落としたであろう場所はとても限られている。セブンに入った時はしていた。
手袋がないと気づいたのは、セブンを出てほどなく。
ということは、セブンイレブンからほんの数メートル行った歩道で落としたとしか考えられない。
西11丁目から歩くのは再び転ぶリスクを考えたらやめたほうがいい、歩道はツルツルに凍っている。
では、現場までタクシーだ。でも配車アプリを使っても一向にタクシーは決まらない。みんな考えることは同じ「転ぶよりはタクシー」
やむを得ず、私はまず店に行くことにした。店に荷物を置いてそこからアプリでタクシーを呼ぼう。ススキノ界隈の方がタクシーはいるだろう。いつも通り地下鉄で出勤。店からタクシーGOで依頼。ほどなく配車され、私は現地へ向かった。
「昨夜、除雪されてるんですよね~」とタクシー運転手さん。見ると、確かに南3条通りはキレイに雪がかかれ、歩道に沢山の雪山が
できている。あ~、私の手袋はもうこの雪の下に埋もれてしまっているかもしれない。
私はほとんど可能性はなくなったと思いながらも、西8丁目のセブンイレブンあたりで下ろしてもらう。
もうすっかり日は暮れて、街の灯りだけが頼りだった。
歩道に立ち、ゆっくりと見回す。右、左。向きを変えてセブンイレブンの方向に向かって数歩歩く、左、右。
すると、歩道右手の雪山のふもとに、赤い手袋が横たわっていた。暗がりだったが、はっきりと分かった、これは私の左手手袋。
ほぼ汚れることもなく、静かに私が保護しに来るのを待っていた。
私はすぐに手袋を拾い上げ、確かに自分の手袋であるこを確認した後、しっかりと手に握りしめた。
その時の嬉しさと満足感と言ったら。
落としてもう見つからないと思っていた手袋は、やはり私を呼んでいたのだった。
営業を始めるために店に向かう途中の私は、久々に晴れやかな気分だった。
と同時に、今回のような事が2度とないように自分を律するべし、と反省もしたのだった。
良かった、手袋、見捨てなくて良かった。
ありがとう、どなたか、道の脇に置いてくれた方がいたとしたら。
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